episode-20
一番風呂で、ひと汗流す。
裸のつきあい。楽しい会話。ビールで乾杯。
汗、排ガス、ほこり。
ハノイの夏は、少々きつい。日差しの強さが、日本とは違う。
ひと風呂、浴びたくなる。
キンマー通りにある「日系ホテル」様を利用させていただいている。
この日系ホテルには最上階に大浴場があり、サウナが併設されている。
3時からスタート。夏には、かなりの頻度で利用する。
浴場に入ると、すぐ前は、トゥーレ公園だ。池があり、スワン型のボートが浮かんでいる。眺めがいい。巨大な浴場の窓から、右(北東方面)を見るとロッテのビルが見える。反対の北西はノイバイ空港方面だ。ハノイの街を囲むように遠方にビルが立ち並んでいる。
浴槽も広い。自分ひとり。貸し切り状態。気分が良い。

サウナ室に入る。全面ガラス張り。手前には、赤茶けた屋根と銀色の水タンクがみえる。遠方はビル、そしてビル。バイパスの工事中だ。ハノイの町をギュッと凝縮した風景が広がっている。
夕方もよい。運がいいと劇的な夕陽を眺めることができる。熱いサウナの中で、地球が回っているんだなとボーットしながら、仕事の先行きを考える。

タオルとバスタオルは極めて衛生的。休憩室に入ると、昔のファーストクラスに設置されていたようなソファーがある。テレビがあり、漫画がある。その奥は喫煙コーナーになっている。
早ければ、ひとり。一番風呂。冷たいクーラーの涼風にあたりながら、資料を読み、電話をかけ、考えごとができる。事務所を抜け出せる方にはおすすめの場所だ。
奥の休憩室からも西南方面を眺めることができる。ホテルを中心に、おそらく約300度強、ぐるりとハノイの街を見渡せる。
時々、ベトナム人の方、ロシア語圏の方と遭遇する。みなさん、サウナとお風呂が大好きなようだ。サウナを楽しみつくしている。ロシア語圏の方は、体が大きい、おしゃべりが大好き。明るい。3から4人でサウナに入ってくる。先に入っていた私は思わず、足を閉じ、タオルを大切なところにそっと乗せる。足が短いのと比例して・・・・。
狭い空間の中で、どの国の方も譲り合い、気を使い、サウナを楽しんでいる。そして、お互いがお互いの気づかいを理解できる。横柄な人には出会ったことがない。
近くには、ロシア大使館、日本大使館、オーストラリア大使館などがある。少し離れて、アメリカ大使館もある。この辺りは、海外の方向けのマンションも多い。様々な国の方が在住しているはずだ。
日本には、「裸の付き合い」という言葉がある。裸になり、ありのままの自分を差だけ出すことで、心理的な距離を縮め、コミュニケーションするといったような意味だ。
このホテルには、女性用もある。
ベトナムに住む世界各国の女性が、このホテルに集まり、サウナに入り、湯船につかる。さぞ、華やかで、楽しい会話の花が咲くはずだ。このパーティーの記念品は、「日本手ぬぐい」にしたいな。
